HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 62135 Content-Type: text/html ETag: "10489c-1646-1c5289c0" Expires: Tue, 04 May 2010 22:21:38 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 04 May 2010 22:21:38 GMT Connection: close 首相沖縄訪問 遅すぎた方針転換と説得工作 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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首相沖縄訪問 遅すぎた方針転換と説得工作(5月5日付・読売社説)

 鳩山首相がようやく、昨年9月の就任以来初めて沖縄県を訪れた。

 米軍普天間飛行場の移設問題の期限が今月末に迫る中、具体的な移設案を明示することさえできなかった。「県内移設」への方針転換が遅すぎたため、地元への説得工作は一段と困難な状況にある。

 鳩山首相は沖縄県の仲井真弘多知事との会談で、移設先について「すべて県外というのは難しい。沖縄に負担をお願いしなければならない」と語った。普天間飛行場の機能の一部は沖縄県内に残すとの考えを示したものだ。

 政府は、沖縄県名護市の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てる現行計画を(くい)打ち桟橋方式に変更する案と、鹿児島県・徳之島へのヘリ部隊の移転を組み合わせる方向で調整している。

 だが、米側は、他の海兵隊部隊の駐留する沖縄から遠い徳之島への移転に難色を示す。杭打ち桟橋方式にも安全面などの理由から同意するかどうかは不透明だ。

 首相が今回、具体的な移設先に言及しなかったのは、こうした事情があるようだ。

 本気で5月末の問題決着を考えていたのなら、もっと早期に具体案を示し、地元との調整に入るべきだった。もはやアリバイ作りのように地元の首長らと顔合わせをしている段階ではない。

 ここに至る政府の迷走ぶりは目を覆うばかりだ。

 国外移転を主張する社民党の顔を立ててグアムなどを視察し、貴重な時間を浪費する。過去に否定されたシュワブ陸上部案やホワイトビーチ沖合案が浮上しては消える。杭打ち桟橋方式も、14年前にも検討されたことがある。

 長年の検討作業の成果・蓄積を何ら活用せず、政治家がにわか勉強でまとめた移設案を無定見に打ち出し、その度に、移設先の地元を振り回した。「政治主導」の悪弊の典型と言えよう。

 無論、最も罪が重いのは鳩山首相である。「最低でも県外移設」と沖縄県民の期待をあおり、今になって「抑止力の観点から県外移設は難しい」と言うのでは、沖縄県側が反発するのは当然だ。

 もっと早く安全保障の観点から県内移設を目指す方針に転換し、沖縄県民に謝るのが筋だった。

 現行計画を否定しているのもおかしい。首相は最近、埋め立てを「自然への冒涜(ぼうとく)」と言い出した。本当にそう考えるなら、最初にそう言うべきだろう。単に自らのメンツを守るため、現行計画の修正を図っているとしか見えない。

2010年5月5日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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