HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61294 Content-Type: text/html ETag: "f5454-12ab-bb1c0780" Expires: Sun, 02 May 2010 03:21:47 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 02 May 2010 03:21:47 GMT Connection: close 5月2日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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5月2日付 編集手帳

 〈少々づゝの金子を預かって下さるとの事ですが利足(りそく)が一年三分とは何とあんまり安くは御座(ござ)いませんか〉〈十銭二十銭の小額から預かり、利足まで下さるとは誠に()(がた)いと存じます〉◆小紙創刊から半年、135年前に早くも読者の間で紙上論争があった。1875年(明治8年)のきょう5月2日に取り扱いが始まった、郵便貯金をめぐる投書である◆察するに、前者はかなり裕福な人で、後者は当時の平均的な庶民だろう。その頃、家の貯えは箪笥(たんす)(つぼ)の中にあるのが普通だった。年利3%は他の貸し借りと比べて確かに低かったようだが、まだ民間銀行が少ない時代に広く貯蓄習慣を植え付けた◆鳩山政権の目玉の一つ郵政改革法案が閣議決定され、郵貯の預け入れ上限額が2000万円まで拡大される見通しだ。老後の不安が尽きない現代、庶民もそれくらいの貯金が必要ということなのだろうか◆明治には少なかった民間金融機関と競争するなら本来は民営化するのが筋だが、その実行期限は白紙らしい。この“改革”に、平成の庶民からも〈誠に有り難い〉と投書が来るかどうかは、まだ分からない。

2010年5月2日01時19分  読売新聞)
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