HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 02 May 2010 03:14:33 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:三波春夫さんが「世界の国からこんにちは」を熱唱した大阪万博…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年5月2日

 三波春夫さんが「世界の国からこんにちは」を熱唱した大阪万博が開かれたのは、高度成長期のエネルギーがあふれる一九七〇年だった。アジア初の万博には約六千四百万人が訪れた。米国館の「月の石」や岡本太郎さんの「太陽の塔」を懐かしく思い出す人も多いだろう▼その二年前、水銀汚染の被害の深刻さを世界に知らせた水俣病が、ようやく公害病として政府に認定された。胎盤は毒物を通さないという医学通説を覆し、有機水銀が胎児に重大な障害を与えることも明らかになった▼被害の確認から公害認定まで十二年を要したのは、経済成長を最優先とする政治が、被害救済に消極的だったからだ。被害は拡大し、差別を恐れた患者は全国に散った▼水俣病の公式確認から五十四年のきのう、慰霊式に鳩山由紀夫首相が首相として初めて参列。患者や遺族に謝罪し、被害を拡大させた行政責任を認めた。地獄のような苦しみを味わった人たちはその言葉をどう感じただろうか▼同じ日、大阪万博当時の日本と同じように、経済大国に躍進する中国で、史上最多の二百四十六の国・国際機関が参加する上海万博が華々しく開幕した▼重化学工業が経済成長を引っ張る中国も環境の汚染が深刻だ。鳩山首相は「水俣病の教訓を世界に発信していく」とも語っていた。ミナマタの苦しみはどの国にも繰り返してほしくない。

 

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