HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61410 Content-Type: text/html ETag: "f5eb1-1242-ee460080" Expires: Sun, 25 Apr 2010 00:21:44 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 25 Apr 2010 00:21:44 GMT Connection: close 4月25日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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4月25日付 編集手帳

 S君が仕事中に心筋梗塞(こうそく)の発作で倒れ、死の(ふち)から生還したことは社内報で知った。48歳の陽気な写真部記者。「幸運にあやかろうと、職場復帰した私を触りに来る(やから)もいる」と笑顔の写真付きだ◆助かったのはAED(自動体外式除細動器)のおかげという。左胸に妙なだるさを覚え、社内の診療所で心電図を取る間に気を失った。医師が備え付けのAEDを使って鼓動を戻す。病院で手術し、一命を取り留めた◆大阪市では今月上旬、救急車備え付けのAEDが故障で作動せず、心肺停止状態の患者を救えなかった。正常に作動していれば助かった可能性があるという。不運の2文字では片付けられぬ問題だ。日ごろの点検を怠るな、が教訓であろう◆S君は「臨死体験」もしていた。舳先(へさき)をこちらに向けた船が護岸に停泊している。これでは乗れない。喫水も深くて今にも沈みそうだ。「僕をかわいがってくれた先輩記者が直前に亡くなって…。今回は俺だけ行く、お前は乗るなと言ってくれたのかも」◆人を生かす文明の利器あれば、人を生かす他界の人もいる。S君の胸にそっと触らせてもらった。

2010年4月25日01時20分  読売新聞)
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