HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 62306 Content-Type: text/html ETag: "100385-15d6-2247500" Expires: Fri, 23 Apr 2010 22:21:43 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 23 Apr 2010 22:21:43 GMT Connection: close 艦隊外洋訓練 中国軍ヘリの危険な異常接近 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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艦隊外洋訓練 中国軍ヘリの危険な異常接近(4月24日付・読売社説)

 訓練中の中国海軍の艦載ヘリコプターが、監視中の海上自衛隊の艦船に異常接近する異例の行動を繰り返した。

 日本政府が、「公海上とはいえ、極めて危険な事態だ」として外交ルートを通じて抗議したのは当然のことだ。

 今月10日、潜水艦2隻を含む計10隻の中国軍艦隊が沖縄本島と宮古島の間の公海を南下した。

 それに先立つ8日には、東シナ海で訓練中の艦載ヘリが、監視活動中の海自の護衛艦に約90メートルまで接近した。

 これ1度だけではない。21日にも、やはり艦載ヘリが、沖縄本島の南方約500キロの太平洋上で、海自艦の上空を旋回し、高さ約50メートルの距離まで近づいたという。

 これだけの接近飛行は、偶発的な事故を起こしかねない。

 中国政府は、日本の抗議に対し「日本の監視活動に対する必要な防衛措置」と反論している。

 だが、今回の示威的な行動は、近年の中国海軍の拡張ぶりを内外に誇示する狙いがあるのではないか。外洋訓練には中国メディアの関係者も同行しているという。

 訓練期間中の13日、ワシントンで開かれた日中首脳会談で、中国の胡錦濤国家主席は、「東シナ海を平和友好協力の海にしていきたい」と語った。

 艦載ヘリの行動は「平和の海」に逆行するものだ。首脳会談では、肝心の、東シナ海のガス田共同開発をめぐる条約交渉開始問題は全く進展しなかった。

 それにしても、日本政府の対応は緩慢に過ぎる。外務省が中国側に事実確認と説明を求めたのは12日で、その日ようやく岡田外相に報告されている。外務省が中国側に抗議をしたのは21日だ。

 中国海軍が、沖縄などの南西諸島と台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」を越えて、小笠原諸島とグアムを結ぶ「第2列島線」にまで活動領域を広げていることは、外交・防衛当局者なら百も承知のはずだろう。

 中国艦隊の動きについて、政府内には、台湾海峡有事の際に米空母などの展開を阻む戦略の一環との見方もある。

 米国の4年ごとの国防計画見直し(QDR)は、中国の急速な軍拡に深刻な懸念を示している。鳩山政権の認識は甘すぎないか。

 今後、海洋権益確保の動きを強める中国海軍の動向には、格段の注意が要る。政府は、中長期的にどんな対策をとるかを検討し、今年の防衛大綱の改定作業に反映させることが必要だ。

2010年4月24日01時34分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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