HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 24 Apr 2010 01:14:34 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:G20会議 安定と効率化の調和を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

G20会議 安定と効率化の調和を

2010年4月24日

 ワシントンで開かれる二十カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議は危機再発防止の観点から金融規制策などが焦点になる。規制による安定と効率化の調和を図る議論の深化を望む。

 今回は従来の先進七カ国による財務相・中央銀行総裁会議(G7)が秘密会議になり、その後でG20が開かれる段取りになった。中国、インドなど新興国や途上国が成長した結果、先進国だけでは米国に過度に依存した世界経済の不均衡など主要問題の解決が望めなくなったためだ。

 世界的な金融危機の後遺症はまだ残っている。米証券取引委員会(SEC)は先に金融大手ゴールドマン・サックスを証券詐欺の疑いで提訴した。提訴を機に、世界の株式市場は動揺した。英国の金融サービス機構(FSA)も同社に対して強制調査を始めた。

 SECの提訴は、同社が投資家に債務担保証券(CDO)を販売しながら、CDO組成にかかわったヘッジファンドは値下がりを見込んで売っていたのを承知していたという疑惑である。つまり仲間が値下がりを見込んで売っていたのに、自分は値上がり期待の投資家に売っていたという構図だ。

 ゴールドマン・サックスは疑惑を強く否定しているが、米金融界を代表する会社だけに世界の金融関係者が展開を注視している。

 同社は歴代の米財務長官を輩出し、共和党政権は同社と密接な関係を保ってきた。同社に対するオバマ政権の姿勢は米国だけでなく世界の金融市場の枠組みに影響を及ぼすとみられているのだ。

 SECは同社に制裁金を求めている。一方、政府が破綻(はたん)処理などにかかったコストを金融機関に求めるアイデアも浮上している。金融機関が過大なリスクを負う取引を大幅に規制する「ボルカー・ルール」と呼ばれる案もある。

 各国は規制と金融取引の効率化の間に立って「なにが妥当なのか」を手探りで考え始めている。先進国と新興国の利害が対立する場面も予想される。G20という新たな枠組みが前向きな議論に貢献するよう期待したい。

 ギリシャの財政危機も焦点になる。欧州のユーロ圏と国際通貨基金(IMF)の協調体制で危機の封じ込めを目指すが、財政赤字に悩む欧州の国はほかにもある。予断は許さない。

 巨額の財政赤字を抱えた日本は、財政再建に向けてデフレ脱却と経済成長に実効性ある将来見通しの策定を求められる。

 

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