HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 23 Apr 2010 22:14:33 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:高速新料金 国民無視の“大迷走”だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

高速新料金 国民無視の“大迷走”だ

2010年4月23日

 所管の大臣が公表した高速道路の新料金体系が、一夜にしてひっくり返り見直しへ。その後も、政府・与党間の意見は食い違ったままだ。選挙目当てを疑われる迷走の被害を受けるのは国民である。

 前原誠司国土交通相が、高速道路の一部無料化に合わせ導入する新料金体系を発表したのは、今月九日のことだった。ところが二十一日夜の政府・民主党首脳会議では一転、再検討と決まった。

 新体系に盛られた車種別上限料金制が、近距離で実質値上げとなり、小沢一郎幹事長ら党側が「政権公約で高速無料化を言いながら、値上げはおかしい」と異論を唱えたからである。背景には利用者らから「公約違反」の批判など、参院選への悪影響を懸念する党内の動きがある。

 前原国交相は二十二日、「現時点では見直さない」としつつ、国会の審議によっては柔軟に対応する考えも示した。国権の最高機関による審議を尊重するとした限りでは、正論といえよう。

 しかし国民の立場からは、政府と所管大臣、政権与党の意見が分裂している、というのが率直な印象である。鳩山政権の掲げた「政策決定の政府一元化」は、当初それなりに清新な感じを与えた。それが、党内有力者の一喝で覆ったり、関係する政治家にてんでばらばらに発言をされては、国民は何を信用したらよいのか。

 高速道路網は今や、日常の物流はもちろん、観光を含む国民の国内移動ルートなどとして、日常生活に欠くことのできない重要な社会資本である。それを利用する料金体系につき、政府・与党の考えが不統一をさらけ出しては、政権への信頼も地に落ちる。

 もともと民主党が政権公約に高速無料化を掲げながら、将来の高速道路網の維持、新規建設などに総合的な政策の展望を示さず、その場しのぎの小細工を続けたことに混乱の原因がある。

 前政権以来続く休日料金の上限を千円とする割引などの原資を、建設に転用できるための道路整備事業財政特別措置法改正案は、衆議院で審議中だ。転用が実質値上げの理由との批判もあるが、もし新料金見直しで、転用により整備対象に挙げられた路線・区間着工が中止となれば、混乱に輪をかけることになる。

 目先の利害にとらわれず、無料化の是非を含め、問題の根源までさかのぼり、高速道路網のあり方につき、政府・党一体となった新しい公約を示してほしい。

 

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