HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 22 Apr 2010 21:14:33 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:普天間問題 職賭すと言うからには:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

普天間問題 職賭すと言うからには

2010年4月22日

 鳩山由紀夫首相は党首討論で、普天間飛行場返還などの政策実現に「職を賭して頑張る」決意を示した。覚悟は多とするが、言葉だけではなく、政治生命を懸けて取り組む姿を国民に見せるべきだ。

 政権交代後三回目の党首討論。谷垣禎一自民党総裁、山口那津男公明党代表の質問は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還問題に集中した。

 首相は「沖縄県民の負担軽減」「最低でも(沖縄)県外」を掲げているが、代替施設の移設先に関する首相の「腹案」が明らかでなく、移設先に挙がる鹿児島県・徳之島も受け入れを拒否している。

 首相自身が断言した五月末までの決着に向けた明確な道筋が見えない中、両党首がこの問題を集中的にただすのは当然だろう。

 首相は「昨年十二月に辺野古に移設先を決めていれば、果たして工事が進んだのか」などと、米軍キャンプ・シュワブ(名護市辺野古)沿岸部に移設する現行案見直しの必要性を強調したが、腹案の内容は最後まで明かさなかった。

 在日米軍基地の約75%が集中する沖縄県民の負担軽減が、日米安全保障体制の持続的展開に必要だと理解はしても、国民が今、聞きたいのは理念ではなく、実現に至る具体的な道筋の方だ。

 首相は「(移設先という)答えをきちっと出すことで今までの懸念がすべて払拭(ふっしょく)される」と言う。

 しかし、答えを出してからの住民との協議の方が困難を極めることは、移設先に挙げられた徳之島の対応を見れば容易に分かる。首相は楽観的すぎるのではないか。

 それとも、われわれには知り得ない秘策、例えば徳之島以外の県外移設先があるのだろうか。

 受け入れ先が見つからなければ米政府に国外移転を求めるという深謀遠慮があるのならともかく、現行案やその微修正の県内移設で決着させるのであれば、明確な公約違反だと指摘しておきたい。

 いずれにせよ残された時間は少ない。腹案の中身を早急に明らかにして、移設先住民や米政府との協議に入るべきだ。

 こうした中、注目すべきは、首相の「すべての政策の実現に向けて職を賭して頑張ることは言うまでもない」との発言だ。

 これまで首相は普天間問題に「命懸けで、体当たりで行動する。必ず成果を挙げる」としつつも、自らの進退には触れていない。職を賭す覚悟を党首討論であえて示したものと受け止めたい。

 

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