HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 17841 Content-Type: text/html ETag: "144dbe-45b1-c329b1c0" Cache-Control: max-age=5 Expires: Fri, 23 Apr 2010 01:21:43 GMT Date: Fri, 23 Apr 2010 01:21:38 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
現在位置:
  1. asahi.com
  2. 天声人語

天声人語

Astandなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)

2010年4月23日(金)付

印刷

 飛び出す絵本は楽しい。世界的な名作「はらぺこあおむし」(偕成社)にも昨春、立体版が加わった。おなじみ、虫食いの穴が開いた菓子や果物も、いっぺんに立ち上がると満腹感が増すものだ。やがてびろろんと、すっかり太ったあおむしが登場する▼「飛び出したり音を出したりすることで、おもちゃから絵本への橋渡しができます」。しかけ絵本を多く手がける大日本絵画社長、小川光二さんの解説である。ページを繰るごと、子どもたちは物語に溶け込んでいく▼では、「飛び出す動画」の魅力はいかに。3Dテレビの商戦が始まった。パナソニックに続いて、ソニーやシャープ、東芝も夏までに売り出し、世界では韓国勢と競うことになる▼右目用と左目用の映像が交互に流され、それを脳が合成して奥行きや立体感が出るという。映像酔いを防ぐため、国と業界は「疲れたらひと休みを」と呼びかけた。一般放送の3D化はまだ先で、当面は有料のスポーツや映画、ゲームが軸になる▼あれやこれやが画面から出てくると聞けば、当方、ホラー映画の「ポルターガイスト」や「リング」を思い、心がざわつく。怖さも楽しさも別物と誘われ、新宿の売り場を訪れた。10分並んで見た石川遼選手によるバンカーショットの映像。砂が目に入った、とだけ記す▼それにしても、「地デジ」で薄型大画面への買い替えが進む中である。値崩れを横目に、早くも「次」で購買欲をくすぐるメーカーと、新しもの好きの消費者。あおむしの食欲に劣らず、遊び心はいつもはらぺこだ。

PR情報