本紙も含めたきのうの朝刊各紙に、前日に実施された全国学力テストの問題と解答例が掲載されていた。本番の試験でもないのに、ここまで必要なのか、と正直思ったが、子どもの学力問題への関心はそれほど高いのだろう▼中学校の国語の応用問題で、架空の新聞を読ませるユニークな出題があった。「今も色あせない魅力」と題した太宰治生誕百年の記事、子ども自身が弁当をつくる「弁当の日」を書いた記事、若い世代と読書をテーマにつづったコラムを読ませる▼その中から興味を持った記事を選び、感想を具体的に書かせる設問だ。普段、新聞など読まない中学生が四苦八苦しながら格闘する姿が目に浮かんだ▼過去三回は全国の国公立の小中学校のうち、小学六年と中学三年が全員参加するやり方だったが、鳩山政権の「事業仕分け」で、文部科学省が約三割を抽出する方法に変更された▼それでも対象外の学校の約六割が自主参加した。95%が参加した大阪府の橋下徹知事は「民主党が完全に民意を見誤った典型例」と方針転換を批判したが、国が施策のためにデータを集める調査は抽出方式で十分だろう▼全校調査が必要と考えるなら、自治体が独自にやればよい。学校の序列化が進み、教育現場が荒廃するリスクも引き受けて結果を公開する是非も自治体が判断する。地方分権とはそういうことではないか。