HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 60772 Content-Type: text/html ETag: "f5c64-12e2-2348ff40" Expires: Sun, 18 Apr 2010 03:21:45 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 18 Apr 2010 03:21:45 GMT Connection: close 4月18日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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4月18日付 編集手帳

 江戸時代も「就活」は厳しかったようである。旗本の子弟で学問や武芸に励んでいても、なかなか望むように就職することは難しかったらしい◆東京・北の丸公園にある国立公文書館が興味深い資料を公開している。22日まで開催中の「幕臣たちの実像」と銘打った特別展だ。就職活動のエピソードは、森山孝盛という旗本が書き残した「(あま)焼藻(たくも)の記」にある◆役職に就くには、幕府の重役が江戸城に出勤する前に屋敷を訪ねて、自分を売り込むことが必須だったそうだ。その慣行は「対客登城前(たいきゃくとじょうまえ)」と呼ばれていた。日に三度も押しかける猛者もいたというから涙ぐましい◆婚姻届にあたる「縁組願之留(えんぐみねがいのとめ)」を見ると意外に再婚同士の例も多く、必ずしも添い遂げる夫婦ばかりではなかったようだ。親を介護するための「看病断(かんびょうことわり)」という休暇届や、勤務ダイヤを代わってくれた同僚への礼状などもあった◆当節、就職難や家族のあり方、介護のことなど、山積する難題を何とかしないといけないのだけれど、(いにしえ)のサラリーマンたちの等身大の姿に、あぁ昔から人生の諸問題は変わらぬ、と少しばかり気楽にはなる。

2010年4月18日01時22分  読売新聞)
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