HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 17 Apr 2010 21:15:59 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:増税論議 無駄減らしをどうする:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

増税論議 無駄減らしをどうする

2010年4月17日

 鳩山由紀夫政権で増税論議が加速している。財政が危機的状況にあるのは間違いないが、公務員制度や行政改革が中途半端だ。国民に負担増を求めるなら、まず政府自らが身を切らねばならない。

 国と地方の長期債務残高は二〇一〇年度末で八百六十二兆円に達する。国内総生産(GDP)の約一・八倍。〇一年度には一・三倍強だったので、この十年弱で日本の財政は確実に悪化した。

 一〇年度政府予算では、ついに国債発行額が税収を大幅に上回った。このままでは財政が中期的に持続可能と言えないのはあきらかである。

 こうした事態を前に、菅直人副総理兼財務・経済財政相や仙谷由人国家戦略相は最近、相次いで財政に警鐘を鳴らしている。

 仙谷大臣は「消費税だけでなく税制改革、歳入改革を掲げて選挙をしなければ、国民にはなはだ失礼だ」と消費税引き上げを争点にした衆院解散・総選挙の可能性にまで言及した。異例と言える。

 鳩山首相は仙谷発言について「事前に了承していた話ではない。徹底的に歳出削減に努める気持ちに変わりはない」と否定しているが、政権内で増税派が急速に勢いを増した印象は否めない。

 この際、あらためて強調しておきたいのは、政権が徹底的な無駄減らしをせずに、数字のつじつま合わせだけで増税を目指そうとしても無理だという点である。

 財務省はひたすら財政危機を強調して、増税による財政再建を悲願としている。ところが官僚の天下り根絶には、霞が関の先頭に立って徹底抗戦してきた。

 ここ数年の改革論議で、そんな舞台裏がすっかり国民に透けて見えてしまった。官僚が自分たちの既得権益を守る一方、負担増を求めても国民は容認しない。だからこそ公務員制度や独立行政法人などの改革が不可欠なのだ。

 徹底した公務員制度や行政改革は官僚主導ではできない。それは原理矛盾と言ってもいい。「政治主導」の本来の意義は、官僚の既得権益と政府の水膨れにメスを入れる点にこそある。

 公務員制度や行政改革を怠り、増税を先送りした結末はギリシャに先例がある。財政危機に陥ってから手をつけようとしたら、今度はゼネストの反乱に遭った。

 まず政権が官僚の抵抗をはねのけ公務員制度・行政改革を断行する。そのうえで必要なら増税策を考え、国民に信を問う。それが真の政治主導による政策展開だ。

 

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