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福岡連続発砲 暴力団から企業と住民を守れ(4月17日付・読売社説)

 拳銃を発砲して企業を威嚇し、不当な利益を得ようとする。そんな、卑劣な事件が福岡県内で続いている。

 警察は、北九州市に本拠がある指定暴力団工藤会の関係者による犯行とみて、工藤会本部や会長宅を家宅捜索した。

 警察庁長官が現地を視察し、捜査員を前に「あらゆる法令を駆使して工藤会を壊滅に追い込んでほしい」と述べたのも、それだけ事態が深刻だからだ。

 脅しに屈して要求をのめば、相手はますます増長する。警察は企業関係者の安全を守り抜かなければならない。実行犯を逮捕し、組織上層部の責任を徹底追及するのはもちろんである。

 福岡市で先週、西部ガスの関連会社が入るビルと、同社の専務宅と隣接する親類宅に、銃弾が撃ち込まれる事件があった。

 西部ガスが北九州市に計画中の液化天然ガス受け入れ基地の建設事業に関連して、今年2月、大手ゼネコンを名指しし、「まだこの会社を使うのか。どうなっても知らないぞ」という内容の脅迫状が西部ガスに届いていた。

 基地建設に絡み工藤会が大手ゼネコンから利益を吸い取ろうとしたが、拒否された。これが事件の構図だと警察はみている。

 福岡県では、大規模工事に関連し、建設関係者を狙った発砲や殺人事件が繰り返されてきた。脅迫状で名指しされた大手ゼネコンも2006年以降、10回近くも関係先が銃撃されている。しかも、多くは未解決のままだ。

 警察が暴力団との絶縁を訴えても、企業の側が身の危険を感じるようなら徹底されない。暴力団のために企業誘致が進まず、地域経済にも深刻な影響が出ている。

 資金源を維持するためには手段を選ばないのが暴力団だ。民事介入暴力などを禁止する暴力団対策法では、組織を弱体化させ得ていないという現実もある。

 弁護士などには、暴力団の存在そのものを違法とする犯罪団体結社罪の導入を求める声がある。暴力団に限定して、通信傍受法の対象犯罪を広げ、傍受の要件も緩和すべきだという指摘もある。

 企業などの意見を参考に、暴力団の封じ込め策を根本から見直すことも検討すべきだろう。

 北九州市では先月、工藤会事務所の撤去運動を進める自治会長宅が銃撃される事件もあった。程度の差はあれ、暴力団による被害は各地に共通している。治安の重要課題として、政府を挙げて対策に取り組んでもらいたい。

2010年4月17日01時30分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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