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天声人語

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2010年4月17日(土)付

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 若き日の谷川俊太郎さんは詩集『二十億光年の孤独』で世に出た。本の題名にもなった名高い詩は、〈人類は小さな球の上で/眠り起きそして働き/ときどき火星に仲間を欲しがったりする〉と始まる▼そして〈火星人は小さな球の上で/何をしてるか 僕は知らない/(或(あるい)はネリリし キルルし ハララしているか)/しかしときどき地球に仲間を欲しがったりする〉と続く。絶妙なカタカナの擬態語が、読む人の脳裏にそれぞれの「火星人」を浮かび上がらせる▼谷川さんの詩を、オバマ大統領に献上したくなった。2030年代を目標に火星に人を送るという新しい宇宙政策を打ち出した。地球上に難題は山積する。政治的打算もあろう。だが惑星をめざす挑戦は、素朴に胸を弾ませる▼往復には2年ほどかかるそうだ。絵空事と思う人もあろう。だが「月へ行く」とケネディ元大統領がぶち上げたとき、米国はまだ地球を回る軌道にも人を送ってはいなかった。それから8年後、人類は月に降り立った▼想像を刺激されたのだろう、その年に福島県の小学生が書いた「うちゅう人とお話を」という詩がある。〈わたしは まほうじてんを開いて/うちゅうのことばで 話しかける/「ガガガ ルル ルル ララララ ピル」っていうと/「ルルル ダダダ テテラ テテラ」てしゃべるかな〉(児童詩誌『青い窓』から)▼子どもの感性には詩人も脱帽だろう。この詩もオバマ大統領に献上したくなる。宇宙人と話すための「まほうじてん」を探し出して、そっと添えながら。

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