中国青海省で起きた地震で一万人以上の死傷者が出ている。日本も生存者救出のカギとなる発生後七十二時間に間に合うよう国際緊急援助隊を派遣し地震大国のノウハウを生かした支援をしよう。
青海省玉樹チベット族自治州玉樹県で十四日午前、マグニチュード(M)7・1の地震が起きた。震源地近くでは九割の建物が倒壊し、住民や子どもたちが生き埋めになった。
被災者の多くは、この地域で圧倒的多数を占めるチベット族だという。地震発生後、各地から武装警察(治安部隊)や消防など救援隊数千人が現地入りし救出活動をしている。
しかし、現地は標高四千メートル近い高地で最低気温が氷点下になり高山病の影響で救援は困難を極めている。交通が寸断され重機が不足し手作業で、がれきの除去に当たる現場も少なくないという。
家屋が倒壊した住民らのためにテントやふとん、衣類などの支援物資の輸送も始まったが、まだ被災者の手に届いておらず、食料、水、医薬品も不足している。
二〇〇八年五月の四川大地震と同じく今回も校舎の倒壊で多くの児童や学生らが犠牲になった。
約千人の児童が寝泊まりする玉樹小学校では多くの子どもたちが残る校舎が崩れた。玉樹民族師範学校では四階建てが倒壊し三十人以上が生き埋めになった。
八万人以上の死者、行方不明者を出した四川大地震で日本は国際緊急援助隊の派遣を申し出た。
中国政府はいったん断ったが、その後受け入れに転じ、新中国建国後初めて国際的救援の受け入れが実現した。日本の援助隊は生き埋めになった人々が生存する可能性が高い発生後七十二時間以内の現地入りはかなわなかった。
しかし、犠牲者を手厚く弔う規律正しい態度がメディアなどで評価され、中国の対日感情が好転した。四川大地震では被災地の救援、支援物資輸送に限らず、その後も原因の究明や被災地再建などで政府、民間を問わず日中協力が実現し成果を上げている。
今回の地震も四川大地震と同じプレートの活動が活発化したのが原因とみられ、日中協力は四川の経験を直接生かせるはずだ。現地はチベット族の民族運動が盛んで、国際的救援の受け入れに中国側は慎重だ。
しかし、だからといって日本政府が援助申し入れを遠慮することはない。中国政府にも被災者救援を第一とする決断を求めたい。
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