HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 15 Apr 2010 20:14:39 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:核安保サミット 希薄な被爆国の存在感:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

核安保サミット 希薄な被爆国の存在感

2010年4月15日

 核安全保障サミットがワシントンで開かれ、核物質の管理体制を早急に築くことで合意した。過激派による核テロが現実のものになってはならない。国家と体制を超えた広範な防止策が必要だ。

 採択された共同声明では「核テロが国際安全保障への最大の脅威の一つ」と確認した。核物質の管理体制を四年以内に確立し、過激派集団などに核技術や情報が流れない態勢をつくると合意した。

 米国とロシアは核兵器解体で生じるプルトニウムそれぞれ三十四トン(核兵器一万七千発相当)を兵器に再利用せず、原発の燃料など民生用に使うと約束した。ウクライナとメキシコは保管する高濃縮ウランを放棄すると発表した。国際的な取り組みの第一歩と評価したい。

 会議を主宰した米国のオバマ大統領は演説で「リンゴほどの大きさのプルトニウムでも、テロリストたちの手に渡れば世界を破滅させかねない」と警告した。

 会議には四十七カ国の首脳らが出席。核拡散防止条約(NPT)に加盟せず、核兵器を持ったインド、パキスタンも参加した。

 日本政府は人材育成を提案した。茨城県東海村の日本原子力研究開発機構にセンターを設けて、アジアを中心に専門家を受け入れ、原子力施設や核物質の保全、防護の教育をする。国際原子力機関(IAEA)に資金提供するプランも示した。

 だがサミットで、日本の存在感は薄かったという印象は否めない。鳩山由紀夫首相は昨年九月の国連安保理会合で「唯一の被爆国として核廃絶の先頭に立つ」と誓った。今回は非核化への貢献をいっそうアピールできる好機だったのに、オバマ大統領との非公式会談は十分ほど。

 米政府の発表だと、日本に対し安保理議長国としてイランの核に対応するよう求めただけだったという。世界規模での核問題では深い論議はできず、物足りなさが残った。

 年内に日本で「核セキュリティー協会」の会議を開催する。強い指導力を発揮してほしい。

 世界の核兵器の95%を保有する米ロが新しい戦略兵器削減条約に調印して、軍縮への取り組みを具体化した。今回は各国が核物質流出への備えを確認した。

 五月には国連で五年に一度のNPT再検討会議がある。核兵器を持つ国と持たない国との激論が予想され、「核なき世界」への歩みはヤマ場を迎える。

 

この記事を印刷する