HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61788 Content-Type: text/html ETag: "aebe4-1639-b43e7300" Expires: Wed, 14 Apr 2010 21:21:38 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 14 Apr 2010 21:21:38 GMT Connection: close 核安全サミット テロ防止へ対策強化を急げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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核安全サミット テロ防止へ対策強化を急げ(4月15日付・読売社説)

 オバマ米大統領が主宰した核安全サミットで、世界47か国の首脳たちは核物質の管理強化や国際協力推進を盛り込んだ共同声明を採択した。

 冷戦後の世界は、世界規模の核戦争の脅威こそ遠のいたものの、核兵器が使われる危険性はむしろ高まっている。

 核開発を進める「ならず者国家」や、核入手を狙うアル・カーイダのような国際テロ組織が存在しているからだ。米同時テロ後、核テロは差し迫った現実の脅威と受け止められるようになった。

 共同声明は、核テロを「国際安全保障への最も重大な脅威」と位置づけ、各国が責任をもって、保有する核物質や核施設の防護、安全維持、核流出の防止対策を講じていく方針を打ち出した。

 だが、共同声明の履行だけでは十分でない。核テロ対策を強化する努力を倍加すべきである。

 共同声明が重視しているのが、核兵器の原料となる高濃縮ウランとプルトニウムの管理だ。核兵器用に開発した核分裂性物質だが、核の平和利用の普及に伴い原子炉の燃料としても使われている。

 欧州では、管理の甘い旧ソ連の核施設から流出し、摘発された事例が幾つもある。各国は厳正に管理し、余剰分は処分すべきだ。

 エネルギーの安全保障や地球温暖化対策の観点から、原子力発電への関心は、開発途上国にも高まっている。途上国側には、核物質の管理強化が、原子力先進国による核燃料の供給規制につながるのではないかとの警戒感もある。

 それを払拭(ふっしょく)しつつ、国際連携を深めることが不可欠である。

 今回サミットにあわせ米露両国は、核弾頭解体で取り出した余剰プルトニウムを原子炉で燃料として消費する協定に署名した。核大国としての努力の表明だろう。

 核燃料のウランは、一般的な原発施設で稼働する軽水炉では低濃縮タイプを使っているが、医療用アイソトープを生産する研究炉の多くは高濃縮タイプを使う。

 高濃縮ウランは、軍事転用が容易だとして利用しない傾向が強まっている。各国は低濃縮ウラン利用炉への転換を加速すべきだ。

 鳩山首相は、核不拡散や核管理のノウハウ提供と専門家育成を図る目的で、アジアの拠点となる支援センター新設を提唱した。

 日本は、ウラン濃縮施設と、使用済み燃料からプルトニウムを分離する再処理施設の両方を持つ。原発建設熱が高まるアジアで、核燃料の安定供給拠点として活用することも重要な検討課題だ。

2010年4月15日01時16分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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