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4月14日付 編集手帳

 勤め人にとって、意に染まぬ人事異動ほどつらいものはない。サラリーマン川柳の秀作集『サラ川傑作選』(講談社)をひもとけば、〈転勤地良い所だと皆が言う〉の不安、〈都落ち事の起こりは無礼講〉の悔恨、〈刺客だと言われ遠くへ飛ばされた〉の怨念(おんねん)…いずれも、実感がこもっている◆魔が差したのか、ひとの弱みにつけこんだ人がいる。部下の男性職員から100万円をだまし取った厚生労働省の室長(56)が、懲戒処分を受けて退職した◆「君は地方に異動することになった」と(うそ)を言い、「100万円あれば回避できる」と説明して現金を受け取ったという。不審に思った職員が幹部に相談して発覚した◆役所でも企業でも、いまどき、人事異動が付け届けや現金に左右される組織などあるはずもない。策略とも計略とも呼べない幼稚な筋立てが半ば成功しかかったところに、人事というものの不思議な魔力がほの見える◆責任のある役職から察するに、勤勉に職務をこなしてきた人だろう。常識を()びつかせ、人生を一瞬にして錯誤の(ふち)に沈める。「錆」も「錯」も金偏の仲間、金とは怖いものである。

2010年4月14日01時21分  読売新聞)
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