HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 60815 Content-Type: text/html ETag: "f5052-111c-bff33cc0" Expires: Tue, 13 Apr 2010 02:21:49 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 13 Apr 2010 02:21:49 GMT Connection: close 4月12日付 よみうり寸評 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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4月12日付 よみうり寸評

 〈むずかしいことを やさしく やさしいことを ふかく ふかいことを ゆかいに ゆかいなことを まじめに〉――作家、劇作家井上ひさしさんのモットーだ◆氏には〈遅筆堂〉の名があるが、このモットーに忠実な仕事をすれば、遅筆も当然だろうとうなずける。言うのは易しいが、実践するのはまことに難しい◆その難しい作業を長いこと続け、数々の名作を世に残した。上智大学在学中に浅草・フランス座の文芸部員になったのが氏の演劇経歴の始まりだった◆父のいない少年時代に「この本の山を父さんと思いなさい」と母。「シェークスピアはホラ吹き親父、モリエールはおもしろ親父……私の父はゴーカケンラン」とエッセー「本とわたし」にある◆「読書は智恵の永遠の連続性への参加。本が父親とは母のとっさの言い抜けだろうが、意外にも本質を言い当ててもいる」ともある。〈難しいことを易しく〉は若き修業時代から身につけてきた◆井上ひさし氏逝く。75歳。偉大な日本のおもしろ親父を失った。

2010年4月12日14時52分  読売新聞)
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