HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 60769 Content-Type: text/html ETag: "f1bca-11ad-e82eff40" Expires: Sat, 10 Apr 2010 02:21:30 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 10 Apr 2010 02:21:30 GMT Connection: close 4月9日付 よみうり寸評 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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4月9日付 よみうり寸評

 〈そつ(たく)〉――鳥の卵が孵化(ふか)するときに、ひなが内側から殻をつつくことを〈そつ〉といい、これに応じて、母鳥が外から殻をつついて助けることを〈啄〉という◆ひなと母鳥が力を合わせ、卵の殻を破り誕生となる。この共同作業をそつ啄というのだが、後に転じて「機を得て両者が応じあうこと」「逸してはならない好機」を意味するようになった◆新潟県佐渡市で放鳥され、営巣していた3歳の雄と1歳の雌のトキのつがいが産卵。別のペアも産卵の可能性があるという◆特別天然記念物のトキの産卵が自然界で確認されたのは1979年以来31年ぶり。順調なら今月下旬にも孵化することになる。この朗報でそつ啄を思い浮かべた◆この10年余、続けてきたトキの人工増殖の場合だと孵化の際、ひなは内から殻をつつくが、外で応じる母鳥はいない。代わりに獣医師が殻を破る手助けをする◆今、放鳥によって自然のそつ啄もよみがえろうとしている。放鳥のトキはうまくそつ啄を果たすか。ひなが元気に誕生するようにと祈る。(「そつ」は口ヘンに「卒」)

2010年4月9日14時00分  読売新聞)
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