HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 60713 Content-Type: text/html ETag: "fd0b3-119b-f6450fc0" Expires: Sat, 10 Apr 2010 02:21:27 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 10 Apr 2010 02:21:27 GMT Connection: close 4月10日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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4月10日付 編集手帳

 探していた本を先日、古書店で見つけた。福田定一著、『ビジネスエリートの新論語』(六月社書房刊)という◆昭和の20年代、駆け出しの新聞記者だったころの回想に、松吉淳之助という“老記者”が登場する。編集局の隅、押し入れの棚に毛布を敷いて住んでいる。夜ごと、鉛筆ダコに膨れた手で焼酎を飲みつつ、心得を説いて聞かせる。口癖は「記者として大成するには、だな」◆ある時、著者が質問した。「大成とは、つまり具体的には何に成ることでしょう?」。松吉大人は答えた。「つまり、現在の俺のようになることだ」。著者名・福田定一は司馬遼太郎さんの本名である◆言葉を補えば、「心底、仕事に()れた俺のように」だろう。職場の棚を住居にされては困るし、する人もなかろうが、同じ心組みの人ならば今も、どの職業、どの会社にもいるに違いない。先輩から教わり、吸収する日々だろう、若い人の初々しいスーツ姿が目につく季節である◆小社の新人記者たちもまもなく研修を終え、それぞれの赴任地に散る。街でお見かけの折はどうか、温かく、厳しく、気合を入れてやってください。

2010年4月10日02時15分  読売新聞)
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