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4月8日付 編集手帳

 モミジのような幼子の手を連想させる「孫の手」の名称は、ちょっと怖い伝説の仙女、怪鳥のような長い爪をした「麻姑(まこ)」に由来するという。〈監督のかゆい所に届く孫の手でありたい〉。その人は以前、本紙の取材に語ったことがある◆内外野に捕手、どこでも守る。味方が重たい雰囲気に沈むとみれば、人懐こい笑顔の「孫の手」でナインの心をくすぐった。勝負どころでは(すご)みのある“麻姑の手”となり、技ありの好打好走で相手チームを悩ませた◆くも膜下出血で倒れた巨人の木村拓也コーチが、きのう亡くなった◆昨年9月の対ヤクルト戦を思い出す。延長戦で捕手が払底し、木村さんが務めた。ベンチを出てベンチに戻るまで、一度もマスクを外さなかった。「万が一、笑みがこぼれたら、真剣勝負が台無しになるから」と。笑顔でファンを魅了した人は、封印する時も知っていた。ドラフト外でプロ入りし、複数の球団を歩いた苦労人ならではだろう◆子煩悩な父親と聞く。攻守に万能の「手」がやすらぐ至福の時間は、お子さんたちを抱きしめるときであったろう。37歳――その年齢が頭を離れない。

2010年4月8日01時26分  読売新聞)
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