HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 08 Apr 2010 02:14:51 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:景気に薄日 雇用改善へ生かしたい:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

景気に薄日 雇用改善へ生かしたい

2010年4月8日

 まだ実感に乏しいとはいえ景気は着実に改善している。政府の経済対策の効果と企業の輸出増加などが理由だ。課題は雇用の改善である。成長を目指す企業は、積極的に人材採用を進めてほしい。

 二番底が心配された景気だがここにきて明るさが出てきた。三月の月例経済報告は輸出回復と個人消費の持ち直しで基調判断を八カ月ぶりに上方修正した。日銀の企業短期経済観測調査でも大企業製造業の景況感は四・四半期連続で改善した。

 株価上昇も好材料だ。三月三十一日の東京株式市場の日経平均株価終値は一万一〇八九円と年度末比で三年ぶりの上昇となった。主要企業の含み益は前年比二倍以上になったとの試算もある。

 そして企業業績の好転である。自動車や電機業界などの二〇一〇年三月期決算は上方修正するところが目立つ。一一年三月期決算はさらに改善が進む見込みだ。

 もっとも先行き不安材料もある。物価が長期的に下落するデフレと高失業率は、依然として大きなリスク要因だ。鉄鉱石や原油など資源価格の急騰で価格転嫁の連鎖が起これば、回復気味の需要に水を差す恐れがある。

 とはいえ、景気の明るさを雇用面に生かさない手はない。

 政府が早急に取り組むべきことは日本の経済社会の将来像を明示することだ。六月に策定予定の「成長戦略」では、新規事業や雇用拡大につながる医療・介護、観光分野などへの具体的な強化策をしっかりと打ち出してほしい。

 企業は、派遣や契約社員など非正規労働者に依存する雇用モデルを転換すべきである。

 国際競争力の強化ではいつも人件費削減を強調してきた。そこで非正規労働者を積極的に採用した。この手法は短期のコスト削減にはなったが、低所得層の増加による消費不振をもたらした。

 企業が発展するには多様な人材を確保する必要がある。それには長期雇用と、非正規でも正社員と格差のない労働条件を整備することが不可欠だ。

 とくに若者の採用拡大を求めたい。二月の完全失業率は4・9%だが十五〜二十四歳の失業率は8・7%と倍近い。今春卒業した高校生や大学生の就職内定率は、ともに80%程度にとどまった。

 来春卒業予定者の採用計画も厳しいという。多数の若者を無職のまま放置してはいけない。雇用の安定を実現してこそ、景気回復と社会の発展が可能になる。

 

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