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4月6日付 編集手帳

 塾には「原始の日」があったという。その日は電気もガスも使えない。()き火のパーティーでは塾生の各班に生きた鶏をあてがい、調理させた◆脚本家の倉本聰さんが私財を投じて北海道富良野市に開いた「富良野塾」である。自分でシメるんですか! 倉本さんの随筆集『左岸より』(理論社刊)によれば、当初、塾生たちは生きた鶏に恐慌をきたしたらしい◆塾生が浴びた倉本さんの言葉を。「シメル。血抜きをし、毛をむしり、ケツから手を入れて内臓を取り出す。残酷だなんて逃げるな。その作業をいつも誰かがやってくれていたんだ。食うだけ食っといて残酷だなんて言うな。罪の意識にさいなまれたら祈れ。こういう時のために神様はいるんだ」◆脚本家と俳優を養成する以上に、共同生活を通して人間を養成する、生き方を学ぶ塾であったろう。この26年間に300人以上もの卒業生を世に送り、「富良野塾」が一昨日で閉塾した◆巣立った若者たちのなかからいつか、土の、汗の(にお)いのするドラマを書く人、演じる人が現れるだろう。『北の国から』の五郎や草太がまとっていた、あの匂いのする。

2010年4月6日01時08分  読売新聞)
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