HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 06 Apr 2010 00:16:08 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:日本の宇宙政策 存在感示す技術開発を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

日本の宇宙政策 存在感示す技術開発を

2010年4月6日

 山崎直子宇宙飛行士らを乗せたスペースシャトルが五日夜(日本時間)打ち上げられた。シャトル引退に伴い、日本人搭乗は最後だ。これまでに得た経験と知識を将来に生かしてもらいたい。

 山崎さんはシャトルに搭乗の日本人飛行士としては七人目、女性では向井千秋さんに次いで二人目だ。今回の飛行では乗組員七人のうち三人を女性が占め、目的地の国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在中の女性一人と合わせて過去最多の四人の女性が一時、一緒に過ごす。

 シャトルは老朽化が進み、ISSが完成する年内に退役し、その後の飛行士の行き来はすべてロシアの宇宙船「ソユーズ」が担う。

 シャトルの残された飛行は今回を含めて四回で、日本人として最後の搭乗者となる山崎さんの飛行は二週間と短いが、「物資移送責任者」として六トンの食料や実験材料などをISSに届けるほか、ロボットアームの操作も任された。任務を無事遂行してもらいたい。

 わが国の宇宙開発は科学探査衛星や気象など実用衛星中心だったが、シャトルの搭乗、ISSへの参加で有人飛行への道が開かれ、多くの技術を習得した。

 ところがことし二月、米国はISS完成後に予定していた月の有人探査計画を予算不足を理由に中止した。米国の探査計画をうまく利用できないかと考えていたわが国の宇宙戦略は狂ってしまった。

 月や火星の有人探査計画が将来浮上するとしても一国で費用を賄いきれず、国際協力が主流になるだろう。その場合わが国として存在感を示すには、他国に一目置かれるだけの宇宙技術を今のうちに培っておく必要がある。日本が得意とする遠隔操作のロボット技術などは、さらに高度なものにしておかなければならない。

 月有人探査の中止の代わりに、ISSの運用は二〇二〇年まで五年間延長されることも決まった。

 ISSに設置されたわが国の実験棟「きぼう」は昨年七月に完成したばかりで、今後数年間しか利用できないのでは成果を十分に発揮できない懸念があっただけに朗報に違いない。この運用延長をうまく利用し、例えば、わが国の優れた材料技術をもとに将来の長期間の宇宙飛行に備え極限の環境に耐える新材料の開発に取り組んでおくのも一案だろう。

 わが国の宇宙開発に今求められているのは、“シャトル後”に何を目指すか、そのビジョンを明確に示すことである。

 

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