HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 05 Apr 2010 03:14:27 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:香港が英国に割譲されるきっかけになった戦争を描いた中国の映…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年4月5日

 香港が英国に割譲されるきっかけになった戦争を描いた中国の映画「阿片戦争」(謝晋監督)が公開されたのは、香港が返還された一九九七年だ。政府高官から庶民までアヘン吸引が広がる実態や、貿易赤字を解消するために中国にアヘンを売った英国の策略などがリアルに再現されていた▼圧巻は特命全権大使として広州に赴任した林則徐が没収した二万箱のアヘンを海辺で廃棄する場面。石灰などで中和されたアヘンは、人工池の中で黒い水となって海に流れていった▼清国は、英国の圧倒的な軍事力の前に敗れた。長年の半植民地化につながった敗戦は、中国人にとって屈辱の歴史なのだろう▼中国で麻薬密輸罪に問われ、死刑判決が確定した四人の日本人について、中国政府は近く死刑を執行すると外務省に通告した。執行されれば一九七二年の国交正常化後初めてとなる▼日本とは違い、中国の刑法では覚せい剤五十グラム以上の密輸で死刑になる可能性がある。薬物犯罪への厳格な姿勢は、アヘン戦争の記憶につながっているのだろうか▼日本でも中国人の死刑を執行した。内政干渉となることを恐れてか、同じ死刑存置国として執行中止を求めにくいのか、日本政府は執行中止は求めず、「懸念」の表明にとどまっている。捜査や司法手続きに不備はないのか、いまからでも中国側に問えることは少なくないはずだ。

 

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