HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 17867 Content-Type: text/html ETag: "466dca-45cb-42119dc0" Cache-Control: max-age=5 Expires: Sun, 04 Apr 2010 21:21:42 GMT Date: Sun, 04 Apr 2010 21:21:37 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2010年4月5日(月)付

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 過日の本紙別刷り「be」で懐かしい英国人に会った。小枝のような体形とミニスカートで一世を風靡(ふうび)したモデル、ツイッギーだ。1967年秋、来日時の装いは噂(うわさ)のひざ上20センチではなく、ひざが隠れるキュロット姿だった。だが、翌日の記者会見にはひざ上30センチで現れる▼カーブの後の豪速球である。その短さがすっきり映えるのは足が長いからだと、当時の写真を見て思った。歳月流るるごとしで、英和辞典に名をとどめる彼女も還暦という▼以来、スカートの流行は伸びたり縮んだり。60年代の急成長をしのんでか、景気がいい時は縮むとの説がある。昨今、ひざ上がどうしたと論じることもないが、家庭では別らしい▼東洋大が募る今年の「学生百人一首」に、選外の傑作があった。埼玉県の高1が詠んだ〈朝早くスカート丈で押し問答母に短し私に長し〉。登校前のひともんちゃくが楽しい。バブル世代のお母さんは、若き日のボディコンを棚に上げて説教する▼服装史は男女とも、東洋はズボン、西洋はスカート型で始まるそうだ。欧州の男性が活動的なズボンに移行しても、地位が低かった女性はスカートに取り残されたという。片や「女らしさ」を求められた日本女性。農民以外はズボン型を捨て、明治以降も着物に封じられた▼和洋、男女の垣根が消えた街に「スカート男子」が出没する世。女子には、母娘の妥協の産物か、レギンスやジーンズの上にミニといういでたちがある。服に縛られぬ世は幸せだ。ただしその幸せはいつも、自己責任と「重ね着」になる。

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