HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 60519 Content-Type: text/html ETag: "f4499-114e-8eb934c0" Expires: Sat, 03 Apr 2010 20:21:47 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 03 Apr 2010 20:21:47 GMT Connection: close 4月3日付 よみうり寸評 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

4月3日付 よみうり寸評

 江戸時代の著名な学者、貝原益軒は今風に言うと「現場主義」を大切にしていた。まず足で稼ぐ。実地に見て聞いて試して書く◆健康について説いた代表作「養生訓」も自らの体験に基づく。植物学の本は自分の家の庭で花や薬草を栽培して著述した。ただ、碩学(せきがく)と言えども時に間違う。桜に関するエピソードはその一つだ◆「日本のような桜は中国にない」と「大和本草」に書いた。長崎に来た中国人に聞いた話と根拠も挙げている。時代を考えれば致し方ないが、もちろん中国をはじめ世界各地に桜はある◆この間違いの影響は小さくなかった。桜が日本固有の花と考えられる契機になり、今も桜は「国花」とみなされる◆桜の植樹を後押しすることにもなった。特に明治に入ると桜を日本の象徴とすべくこれが加速した。今、各地に桜の名所があるのも貝原の間違いが遠因と言えるだろう◆桜前線は着実に北上し、連日のように各地で満開が伝えられる。この週末は花見もにぎわいそうだ。さて、どの「現場」に行くか。

2010年4月3日15時53分  読売新聞)
現在位置は
です