HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 62028 Content-Type: text/html ETag: "b7b9e-15ee-472cabc0" Expires: Sat, 03 Apr 2010 01:21:39 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 03 Apr 2010 01:21:39 GMT Connection: close 「代理投票」 国会の議決を冒涜する行為だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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「代理投票」 国会の議決を冒涜する行為だ(4月3日付・読売社説)

 厳正でなければならない国会の議決を冒涜(ぼうとく)する行為である。

 自民党の若林正俊・元農相が参院本会議で、隣席の青木幹雄・前参院議員会長の投票ボタンを押した責任をとって議員辞職した。

 「代理投票」とも、偽装投票とも言えるような愚かな行為だ。辞職は当然だろう。

 若林氏は記者会見で、3月31日の本会議における改正雇用保険法など10件の採決で、青木氏の投票ボタンを押したことを認めた。

 さらに「青木氏が席を離れた。間もなく戻るものと思ってボタンを押してしまった」と釈明した。ただ、「青木氏から依頼されたことはない。初めてしたことだ」とも述べた。

 だが、肝心のボタンを押した理由については「魔が差したとしか言いようがない」と語るだけで、まったく説明になっていない。

 国会は、言うまでもなく、国の唯一の立法機関である。

 とくに衆参両院の本会議は、各院の最終的な意思を決める場だ。議案成立の可否は、特別の定めのある場合を除いて、出席議員の過半数で決まる。

 ここでは、わずか1票の差によって法律が成立したり、しなかったりする。議員一人一人が、自らの責任で投じる1票が、重い価値を持つゆえんだ。

 今回の若林氏の軽率な行為は、国会議員の職責の重大性を、まったく失念していたものと言わざるをえない。

 そもそも、一般の有権者が選挙で他人になりすまして替え玉投票をすれば、公職選挙法違反で逮捕される。それが世間の常識だ。

 若林氏は、自ら犯した罪の深さをかみしめるべきである。

 問題となったボタン式投票は、採決時の牛歩戦術などの反省から1998年に参院に導入された、短時間での採決方法だ。

 参院改革の一環として取り入れた独自の投票方式が、こうして悪用されたのでは、「良識の府」が泣く。不祥事が明るみに出た以上は、不正投票の防止策を検討する必要があるのではないか。

 自民党は、全議員懇談会の場でも谷垣総裁率いる執行部の刷新要求が絶えず、揺らいだままだ。

 昨年9月、事実上の総裁不在で迎えた国会の首相指名選挙で、自民党議員が苦肉の策としてそろって投票したのが、当時、両院議員総会長の若林氏だった。

 若林氏の今回の不正は、政権交代後、緊張感を欠いている自民党へのさらなる打撃となろう。

2010年4月3日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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