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4月2日付 よみうり寸評

 〈さまざまの事おもひ出す桜(かな)〉──久々に訪れた郷里の伊賀で詠んだ芭蕉の句。今年も人はさまざまな思いでサクラを眺めている◆とりわけ、菅家利和さんの目に今春のサクラは格別だろう。先月26日、宇都宮地裁で再審無罪を得たばかりだ。自由の身で花見ができるのは逮捕された1991年以来で19年ぶりになる◆東京のサクラが満開になったきのう1日、最高検と警察庁がそろって足利事件の捜査の問題点を検証する報告書を公表した。菅家さんの失った歳月が戻りはしないが、冤罪(えんざい)の根絶に生かしてもらいたい◆〈人に聞くより物を見よ〉は自白偏重を戒める鉄則だが、足利事件では〈DNA鑑定の理解不足と過大評価〉が大きな反省点になった◆まだ精度の低かったこの鑑定に警察も検察も目を狂わされた。科学捜査の名の下、鑑定精度を科学的に見据えず、過信して過ちを犯した。その過信で自白の真偽を見損なった◆物を見たつもりで物を見ていなかった危うさ。客観証拠なしに思いこむ捜査が恐怖の冤罪を招く。

2010年4月2日13時49分  読売新聞)
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