HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 03 Apr 2010 02:16:20 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:<核弾頭五万個秘めて藍色の天空に浮くわれらが地球>加藤克巳…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年4月3日

 <核弾頭五万個秘めて藍色の天空に浮くわれらが地球>加藤克巳。この歌が詠まれたころよりは減ったけれど、それでもなお二万発からの核弾頭が存在するといわれる、この星である▼英語でプレス・ザ・ボタン、「ボタンを押す」といえば、核保有国の指導者が「核戦争を決断する」という場合の比喩(ひゆ)表現だ。核弾頭の多くはすぐ発射できる状態になっていようから、世界の運命は今、この瞬間も、彼らの手中にあるいくつかのボタンに委ねられていることになる▼自民党参院議員の若林元農相が昨日、前代未聞の理由で議員辞職に追い込まれた。本会議での採決で、議場を離れていた隣席の青木前自民党参院議員会長の代わりに投票ボタンを押したことの責任をとった▼厳正な採決を汚したのだから当然の帰結だが、その大事な場を放棄していた方の責任も問われるべきだ。青木さんに限らず、結果の見えた採決の場合など棄権はさほど珍しくないと聞くが、職責をなめた態度というほかない。それがこの一件にもつながっている▼ところで、元農相が記者会見で語った説明の言葉には少し寒々となった。青木さんに頼まれたわけでもないのに、なぜボタンを押したりしたのか。若林さん曰(いわ)く、「魔が差した」▼いかにも、人間には魔が差すことがある。その人間に委ねられている、もっとずっと恐ろしいボタンの数々…。

 

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