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日医新会長 政権への接近より患者優先を(4月2日付・読売社説)

 日本医師会と政権与党が親密になるだけで、日本の医療の課題が解決するわけではない。

 2年に1度行われる日医会長選挙で、民主党を支持する原中勝征(かつゆき)・茨城県医師会長が、これまで自民党寄りだった現職の唐沢祥人(よしひと)氏と、中間派の森洋一・京都府医師会長を破って当選した。

 原中氏は茨城県で療養病床中心の中規模病院と老人ホームを経営している。

 自公政権が導入した後期高齢者医療制度に反対し、総選挙で民主党候補を全面的に支援した。その際に同党の小沢幹事長と信頼関係を築いたとされる。

 一貫して自民党の有力支持団体だった日医に民主党支持派の新会長が誕生したことは、医療界にとどまらず、他の業界団体へ及ぼす影響も少なくないだろう。

 ただし、原中氏の得票は約3分の1に過ぎない。

 会長選は代議員356人の投票で行われ、原中氏が131票を取ったものの、森氏も118票、唐沢氏も107票を得た。

 3候補が票をほぼ三分したことは、政党との距離感をめぐって揺れ動く日医の現状を浮き彫りにしている。

 原中新会長が求心力を持って日医を運営できるか、不安を抱えての船出と言えよう。

 原中氏が勝った背景の一つに、民主党への接近競争と呼ぶべき医療関係団体の動きがある。

 日本歯科医師会の政治団体は、政権交代後に素早く自民党支持を白紙化して、民主党支援を打ち出した。診療報酬改定で、歯科の報酬引き上げが他の診療科より高率になったのは、その成果と見る向きもある。

 多くの勤務医を抱える病院団体からも、幹部が民主党の比例候補として参院選に出馬する。

 こうした動きに出遅れたままでは日医の中心勢力である開業医の主張を政策に反映できない、との危機感が強かった。

 日医もまた、政権交代に連動してリーダーを代える必要があったということだろう。

 だが日医はいつまで、時の政権とのパイプを太くすることに執着するのか。

 日医に必要なのは、政権との近さを誇示することではなく、開業医と勤務医を問わず、すべての医師の意見をくみ上げ、日本の医療全体の利益を代表する団体に生まれ変わることではないか。

 原中新会長の手腕が試されるのは、その点であろう。

2010年4月2日01時28分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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