HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 01 Apr 2010 21:16:19 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:かつてクルクル変わる「猫の目行政」と呼ばれたのは農業政策だ…:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 筆洗 > 記事

ここから本文

【コラム】

筆洗

2010年4月1日

 かつてクルクル変わる「猫の目行政」と呼ばれたのは農業政策だったが、いまは教育行政こそその名にふさわしい。「ゆとり教育」と猛烈な批判を浴びた当時の教科書に比べ、来春から使われる小学校の算数と理科の教科書は、なんと67%もページ数が増えるという▼学校の完全週五日制と同時に文部省(当時)が教科内容の厳選を打ち出したのは約十年前。円周率の「3・14」は「3」で計算してもよいということになり、台形の面積を求める公式が消えた▼<いままで十を教えても五しか理解されなかった。教える内容を七まで下げて、基礎・基本に絞れば全員の理解率が上がる>。当時の文部省の考え方を簡単に説明するとこうなろう。その結果、教科書も約三割薄くなった▼当時、新学習指導要領の目玉は、教科の枠を超えた総合的学習の時間。「教える」から「学ぶ」へと、学力観の転換が期待されたが、学力低下の「元凶」にされ色あせてしまった▼<海が汚染されているのに、海の中につくった養殖池の中だけを浄化しようというのに似ています>。教育改革論議のおかしさを、学校という狭い枠内で解決しようとしているところにあると指摘した中学の教師がいる(赤田圭亮著『不適格教員宣言』)▼学力が下がったと若者バッシングするのはやめよう。もっと大きな視点で教育をとらえないと、日本は沈む。

 

この記事を印刷する