HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 17915 Content-Type: text/html ETag: "51b611-45fb-f6ca5780" Cache-Control: max-age=5 Expires: Fri, 02 Apr 2010 00:21:42 GMT Date: Fri, 02 Apr 2010 00:21:37 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2010年4月2日(金)付

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 16から17世紀にかけて栄華を誇ったスペインを、司馬遼太郎は「盗賊が財宝をかかえているような経済だった」と言っている。世界を巡って大いに財を集めたが、消費するばかりで産業を築く元手にすることがなかったからだ▼そして「王や貴族、冒険家たちがその財宝をつかいはたしたとき、故(もと)の木阿弥(もくあみ)になった」と書いた(「街道をゆく・愛蘭土(アイルランド)紀行」)。そのスペインに民主党が重なり合う。せっかく集めた民意という「金銀財宝」を、ただただ蕩尽(とうじん)しつつある▼支持をこぼすこと、穴だらけの桶(おけ)のようだ。それもつまらぬ穴が多い。小沢氏批判の副幹事長を解任し、不評を買うや取り消した。続いて国家公安委員長の女性問題。郵貯をめぐる「言った言わない」や罵(ののし)り合いは「学級崩壊」と失笑を買った▼神は細部に宿ると言い、幾多の「つまらぬこと」が政権の本質をあぶり出す。大どころでは「政治とカネ」がくすぶり続け、普天間問題は迷走をきわめる。郵政改革は先祖返りし、財政赤字への不安は膨らむばかりだ▼一昨日の党首討論では、一時は秋波を送るかにみえた公明党の山口代表からも「失望内閣」と一太刀を浴びた。落ち目というのは自分で気づくより早く他人の態度が教えてくれる。そんなシェークスピア劇の台詞(せりふ)が思い浮かぶ▼民意の支持は政党の資本金といえる。使い果たして元の木阿弥では期待した国民はやりきれない。普天間問題が後のない山場になろう。党首討論で首相は、「命がけで」という言葉に力を込めた。宇宙人用語でなければいいが。

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