HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 31 Mar 2010 22:16:22 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:死刑判決を受けている者がいまさら隠し立てなんてしませんよ−…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年3月31日

 死刑判決を受けている者がいまさら隠し立てなんてしませんよ−。かつて東京拘置所で接見したオウム真理教の元幹部はそんな趣旨のことを語り、憤りを隠さなかった▼この元幹部は国松孝次警察庁長官の銃撃事件で、元警視庁巡査長らが二〇〇四年に逮捕された際、「現場指揮官」と名指しされた人物だ。多くの人の命を奪ってしまった心痛からか、髪の毛は真っ白く老人のようになっていた▼銃撃の「実行犯」とされ、死刑が確定している元信者が法廷で号泣しながら罪を悔いる姿も見た。彼らが長官銃撃事件に限って、真実を隠す意味があるのだろうか▼未解決のまま時効を迎えた長官銃撃事件で、警視庁の青木五郎公安部長はきのう、「オウム真理教のテロ」と断定する極めて異例の捜査結果を公表した。先の元幹部らも「容疑グループ」に入っていた▼公表された捜査結果の概要は、質の悪い状況証拠の羅列だった。立件はできなくても、教団の犯行と印象付ければ良いという浅ましさが透けてみえた。公表を認めた警察上層部の責任も問われることになるだろう▼きのう、十五年ぶりに東京・南千住の現場を歩いた。前日まであった情報を求める看板は撤去され、狙撃者が身を寄せた壁にも太陽の光が降り注いでいた。延べ五十万人近い捜査員を動員しながら、こんな総括しかできない捜査機関は存在価値がない。

 

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