HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61314 Content-Type: text/html ETag: "add5a-1612-6e7ed8c0" Expires: Sun, 28 Mar 2010 23:21:42 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 28 Mar 2010 23:21:42 GMT Connection: close 長官銃撃事件 時効成立で真相は解明されず : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

長官銃撃事件 時効成立で真相は解明されず(3月29日付・読売社説)

 警察庁長官が銃撃された殺人未遂事件が、30日午前0時で公訴時効となる。発生から15年、犯人や動機など真相が不明なまま捜査は終結する。

 警察組織のトップが自宅マンション前で銃撃されるという前代未聞の事件だった。10日前にはオウム真理教による地下鉄サリン事件が発生し、この2日後に警察はオウム施設を一斉捜索している。

 警察は一貫して「オウムが組織的に関与した」と見てきた。オウムの仕業かどうかはともかく、警察のオウム捜査に絡んでの犯行だった可能性が高い。

 警察の威信をかけた捜査と言われながら、なぜ解決できなかったのか。公安部と刑事部の連携不足など縦割り組織の弊害や、最も基本的な、現場周辺の地道な聞き込み捜査を欠いたとの批判が、警察内部にもある。

 警察は、捜査の失態ともいえる結果を詳細に検証し、今後の教訓としなければならない。

 事件の翌年、オウム信者だった警視庁の現職巡査長が、「自分が撃った」と供述し、警視庁が取り調べたことがある。

 さらに2004年には、懲戒免職となっていたこの元巡査長を逮捕して調べたが、供述が二転三転するなどして、起訴に持ち込むことができなかった。

 最初に巡査長が供述した際、警視庁は秘密保持を優先させて警察庁への報告を怠り、十分な裏付け捜査もしなかったとして、警視総監が引責辞任に追い込まれた。

 現職警察官の供述という衝撃から冷静さを失い、隠蔽(いんぺい)したとみられても仕方ない対応だった。

 早い段階でオウムの肥大化、凶暴化を封じ込めていれば、地下鉄サリン事件も長官銃撃事件も起きなかったのではないか。

 坂本弁護士一家が殺害された翌年の1990年10月、警察はオウム施設を捜索し、徹底追及の機運が高まった。しかし、それから地下鉄サリン事件までの4年半近く、警察は沈黙してしまう。

 一連のオウム捜査にも反省材料は多い。同じ失敗を防ぐには、関係警察本部に対する警察庁の迅速適切な指導力が不可欠だ。

 殺人未遂の公訴時効は2005年から25年に延長された。殺人の時効を廃止する法案も今国会に提出されている。だが、発生から3年を過ぎると極端に検挙が難しくなるというデータがある。初動の捜査が勝負を分けるわけだ。

 警察への信頼を高めるには、国民が不安に感じる犯罪への確実な対処ほど大事なことはない。

2010年3月29日00時55分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です