HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 29 Mar 2010 00:16:25 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:「ほっといてくれ」と思う人も多いのではないか。政府が国内総…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年3月29日

 「ほっといてくれ」と思う人も多いのではないか。政府が国内総生産(GDP)に代わる新たな成長の物差しとして準備を始めた「幸福度」の調査のことだ▼雇用や子育て、治安などに関して世代別の満足度などに関するアンケートを基に調査の詳細を決めるという。何が幸せなのかは人によって違う。まして、日々の生活に精いっぱいの若い世代の関心をひくだろうか▼二〇〇二年十月に非正規雇用だった独身の男性約七百人のうち、〇八年までに結婚したのは17・2%という調査結果が最近発表された。正規雇用は32・2%なので約半分。雇用が不安定だと結婚するのも難しい現実がある▼長野県の諏訪中央病院名誉院長の鎌田實(みのる)さんは、近著『空気は読まない』で国家の下半身に温かな血を通わすためにも子育てや教育、医療、介護、雇用が大事なのにこれまでの日本のリーダーは気にかけてこなかったと断じた▼その結果、いま直面しているのは医療や介護の崩壊、教育現場の荒廃だ。日本の特徴だった分厚い中流層が崩壊しつつあることを憂う鎌田さんは<この国をおおっている空気をあったかくする物語が、今こそ必要なのだ>とリーダーに呼び掛ける▼最低限度の暮らしさえ奪われている人が増えている。幸福度調査の前にやるべき政策は、国民を貧困から救い出すことに限っても、目の前にいくらでもある。

 

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