HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61706 Content-Type: text/html ETag: "ad6b9-162b-8f5bb7c0" Expires: Sun, 28 Mar 2010 02:21:42 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 28 Mar 2010 02:21:42 GMT Connection: close ギョーザ事件 容疑者逮捕でも不信は残る : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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ギョーザ事件 容疑者逮捕でも不信は残る(3月28日付・読売社説)

 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件が、発生から2年余にして急展開を見せた。中国の警察当局が、製造元の臨時従業員だった男を逮捕した。

 容疑者を特定した捜査は、評価していいだろう。毒物の有機リン系殺虫剤メタミドホスが、日中のどちらで混入されたかという問題にも、これで決着がついた。

 容疑者の男は賃金や同僚の従業員への不満から毒物を混入させたと供述しているという。毒物の入手経路や具体的な犯行手口も突き止めなければならない。

 日本国内で被害が出た事件であり、本来なら刑法の国外犯の規定を適用し、日本に身柄を移して取り調べるべきなのだが、中国とは犯罪人引き渡し条約がない。このため、今後は中国側に代理処罰を求めることになる。

 まずは、事件の全容を解明する必要がある。中国側は捜査資料を日本側にも提供し、連携して今後の捜査を進めてほしい。

 それにしても、中国側が当初から中国で混入されたと真正面から受け止め、しっかり捜査していれば、もっと早期の解決も可能だったのではないか。

 中国公安省は事件直後、「中国国内で混入された可能性は極めて小さい」と言い切っていた。「生産工程や輸送過程で混入された状況はなかった」「工場は集団作業で監視カメラもあり、混入は難しい」と理由を挙げていた。

 外交上の利害得失や思惑を優先させ、日本側に責任転嫁して、正当性をごり押ししたと見られても仕方がない。

 警察庁は科学鑑定の結果、検出されたメタミドホスは不純物が多く、日本国内では流通していないものであることや、袋の外側から内側へは浸透しないことがわかっていた。中国側の主張に即座に反論したのも、当然だった。

 日本の消費者の間に、中国からの輸入食品に対する安全性への疑念が募った事件である。冷凍食品全体の買い控えにも発展し、日本の食品会社が大打撃を受けた。

 中国食品では有害物質メラミンの汚染も問題になった。中国政府も食の安全と品質について管理を強化し始めているという。内外での批判の高まりから、看過できなくなったのだろう。

 容疑者逮捕は不信を(ぬぐ)う一歩にすぎない。問題を隠蔽(いんぺい)する体質を改めることも重要だろう。

 日本としても、輸入食品の監視体制を充実させる一方、中国側に対し、食の安全対策の徹底を繰り返し求めていくべきだ。

2010年3月28日01時13分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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