HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 62094 Content-Type: text/html ETag: "bdc6c-16b3-b56d61c0" Expires: Fri, 26 Mar 2010 02:21:42 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 26 Mar 2010 02:21:42 GMT Connection: close 過疎法延長 地域の実情に即して活性化を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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過疎法延長 地域の実情に即して活性化を(3月26日付・読売社説)

 雇用がないため、若者が都会に流出し、地方経済が停滞する。この悪循環にどうやって歯止めをかければいいのか。

 改正過疎地域自立促進特別措置法が成立し、4月から6年間の延長が決まった。

 過疎特措法は1970年の制定以来、10年ごとに議員立法で更新されてきた。一定の人口や財政力の要件を満たす市町村に対して、国が7割を補填(ほてん)する過疎対策事業債の発行や、国の補助金のかさ上げを認めるものだ。

 上下水道や道路など社会基盤整備では一定の効果があったが、過疎地域の状況は依然、厳しい。

 人口減少と高齢化により、生活機能の低下、医師の不足、維持が困難な集落の増加など、様々な問題が深刻化している。耕作放棄地の増加や森林の荒廃も進む。

 これらは、その地域だけでなく、日本全体の問題と認識して対策を検討する必要がある。

 改正特措法は、過疎債の発行対象を社会基盤や施設などハード面の整備から、医師や地域交通の確保などソフト事業に拡大した。

 住民が本当に必要としている事業を支援する方向性は正しい。施設整備は一時的に経済振興に役立っても、維持管理費がかかり、長期の財政負担につながる。

 ただ、必要最小限のソフト事業さえ国の支援対象とするのは、それだけ過疎地域が困難な立場にあることの裏返しでもある。

 どんなソフト事業に重点を置くべきなのか。各市町村は、地域の実情に応じて、大いに知恵を絞ってほしい。国や都道府県も、各地の成功・失敗事例を踏まえて、支援の内容と手法に工夫をこらしてもらいたい。

 兵庫県養父(やぶ)市と香美(かみ)町は、地域病院の医師確保のため、大学医学部に進学する学生への奨学金貸与制度をスタートさせた。

 徳島県上勝(かみかつ)町は、地元の葉や花を料理のつまとして販売する第3セクターを運営し、女性や高齢者の雇用に役立てている。

 緊急時に家族や消防署に連絡できるように、全地球測位システム(GPS)機能付き携帯電話を高齢者に貸与している例もある。

 過疎対策では、財政支援だけでなく、専門の人材を確保し、育成することが重要だ。

 総務省は、集落の実情を調査し活性化策を助言する「集落支援員」や、都市から地方に移住して地域協力活動を担う「地域おこし協力隊」の制度を進めている。

 過疎対策に特効薬はない。地道で多様な努力が求められる。

2010年3月26日01時40分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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