HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61407 Content-Type: text/html ETag: "b9670-15cf-906ef3c0" Expires: Thu, 25 Mar 2010 03:21:14 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 25 Mar 2010 03:21:14 GMT Connection: close 郵政改革法案 非効率な官製金融が膨張する : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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郵政改革法案 非効率な官製金融が膨張する(3月25日付・読売社説)

 資金の流れを「官から民へ」と変える郵政改革の狙いに、逆行するといわざるを得ない。

 政府が発表した郵政改革法案の最終案は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険に対する国の関与を残しながら、業務を拡大する内容となった。

 圧倒的な規模と信用力を持つ官製メガ金融が強化されれば、民間の金融機関や生保は預金や契約を奪われて、痛手を受けよう。

 官業による民業圧迫は、官の無駄を徹底的になくすとする民主党の方針とも矛盾する。利便性向上の裏で、郵政ファミリーの肥大化を図る改悪は避けるべきだ。

 日本郵政グループは、現在の5社体制を3社に集約して、郵便事業を行う親会社の下に、ゆうちょ銀とかんぽ生命の2社を置く体制となる。

 5分社化による縦割りや連携の悪さは、ある程度改善されよう。基本的な金融サービスも、全国の郵便局で行う。配達の人に貯金を頼めないなど、民営化の不便が解消することは歓迎したい。

 問題は、金融2社の拡大路線にある。政府の親会社への出資比率と、親会社の金融2社に対する出資比率は、ともに3分の1超とした。完全民営化で郵政グループから独立するはずだったゆうちょ、かんぽは官業であり続ける。

 そのうえ、貯金の限度額は1000万円を2000万円に、保険の加入限度額は1300万円を2500万円に引き上げる。

 国の後ろ盾という信用力を持ちつつ、限度額を増やして集金力を強めれば、特に地方の信用金庫や信用組合など、中小金融機関への影響は大きいだろう。

 ゆうちょは資金の約8割を国債で運用し、かんぽを合わせると200兆円を上回る。

 この巨額資金を国債購入で塩漬けにすれば、郵貯が特殊法人の生き残りに使われた時代と変わらない。さりとて、審査能力は乏しく融資の急拡大は非現実的だ。

 政府関与を残すのなら、限度額を逆に下げ、少額決済など公益的な業務に絞り込むべきだろう。

 過疎地などで全国一律サービスを維持する費用は、日本郵政に対する減税など、国民負担でまかなわれる。日本郵政は効率化と無駄削減を徹底する責務がある。

 それなのに、郵政で働く20万人の非正規雇用者のうち10万人を給与の高い正規雇用とするのはどうか。人件費がかさみ、以前の国鉄のような水ぶくれの赤字体質になる。経営効率を監視する第三者機関などが必要となろう。

2010年3月25日01時38分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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