HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61642 Content-Type: text/html ETag: "b9885-1616-9664d4c0" Expires: Thu, 25 Mar 2010 02:21:37 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 25 Mar 2010 02:21:37 GMT Connection: close 10年度予算成立 マニフェストの抜本見直しを : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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10年度予算成立 マニフェストの抜本見直しを(3月25日付・読売社説)

 2010年度予算が成立した。

 極めて問題の多い予算なのに、与党ペースで掘り下げた議論もせず、政府案通り成立に至ったのは遺憾である。

 10年度予算は、民主党の政権公約(マニフェスト)に基づき、費用のかさむ政策が数多く盛り込まれたことで、一般会計総額が92兆円と大きく膨らんだ。

 予算の大枠を定める概算要求基準が撤廃されたことも、歳出増の要因となったのは明らかだ。

 一方、税収は37兆円余りに落ち込むため、当初予算としては過去最大となる44兆円もの国債を発行してしのぐ有り様だ。当初予算で国債発行額が税収を上回るのは、戦後初という異常事態である。

 10年度予算が成立したばかりだが、「このままでは11年度予算はまともに組めない」との指摘が、早くも各方面から出ている。

 税収増が期待できない中、政府が11年度も歳出拡大を続ける構えでいるからだ。これでは国債依存度がさらに高まり、日本経済に対する信用が失墜しかねない。

 実際、海外の格付け機関は、日本の国債の格付けを引き下げる可能性を示唆している。

 鳩山内閣は、財政事情の厳しさを再認識し、マニフェストへのこだわりを捨てて、財政健全化に努めなければならない。

 10年度予算で最大の歳出項目は社会保障費である。約27兆円と一般歳出の半分以上を占める。この社会保障費は、11年度でも最大の歳出拡大要因となろう。

 中でも、子ども手当の取り扱いが焦点だ。今年6月から実施される月1万3000円の半額支給ですら、10年度は2・3兆円かかる。11年度からの満額支給なら、5・3兆円の財源が要る。

 これに、基礎年金の国庫負担引き上げ分(2・5兆円)や少子高齢化に伴う自然増分などを合わせると、社会保障費だけで6兆円もの財源を確保せねばならない。

 にもかかわらず、10年度予算に計上された10兆円の税外収入は、埋蔵金の枯渇で、もはや当てに出来なくなった。

 昨年の事業仕分けで削減されたのは7000億円に過ぎないことを考えれば、無駄減らしによる財源捻出(ねんしゅつ)は絵に描いた餅である。

 歳入が足りず、無駄にも切り込めないとなれば、マニフェストによるバラマキ政策を大幅に見直すしかあるまい。

 消費税率引き上げなどによる中期的な財政健全化の道も、早急に示す必要があろう。

2010年3月25日01時39分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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