HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 24 Mar 2010 20:16:27 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:世界にはよく似た意味の諺(ことわざ)が実に多い。エッセイス…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年3月24日

 世界にはよく似た意味の諺(ことわざ)が実に多い。エッセイストの故米原万里さんは、例えば日本の<後悔先に立たず>と同じ意味の諺として英国の<死後に医者>やロシアの<頭をなくしてから髪の毛を惜しむな>などを自著『他諺(たげん)の空似』で紹介している▼<寄らば大樹の陰>は、強者への諦観(ていかん)を示す<長いものには巻かれろ>とニュアンスが違い、積極的に権力者に擦り寄る処世訓というのが米原さんの分析だが、<寄らば〜>と似た諺は世界には少ないらしい▼スペインに<大きな流れに逆らって泳ぐのは、慎重な男のすることではない>があるが、諺辞典には「少数派」というお断り付きだという。日本には、<犬になるなら大家の犬になれ>という似た諺もある。どこか国民性を表しているのだろうか▼「言論封殺」と批判を浴びた民主党副幹事長の解任問題は、一転留任することで決着した。例によって、小沢一郎幹事長の側近が意向を忖度(そんたく)して先走ったが、世論の反発を受け続投させざるを得なかったのだろう▼以前、小沢氏の顔色をうかがう側近たちを「茶坊主と呼ぶのは本家に申し訳ない」と小欄に書いたが、相変わらず国民の顔を見ようとしない人たちだ▼この党の一部に巣くう<寄らば大樹の陰>的な発想は、自由闊達(かったつ)な議論を尊ぶ党内の雰囲気を暗く、内向きにしてしまった。これでは支持率も回復しない。

 

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