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天声人語

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2010年3月23日(火)付

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 聞いて慰められる人は多いかも知れないが、たばこをめぐるこんな迷言がある。「禁煙はわけなく出来ることだ。すでに千回はやってみた」。手元の本によれば米国の作家マーク・トウェインが発言主となっている▼ほかにも歴史上の人物が似たことを言っているらしく、禁煙の試みと失敗の多いことを物語る。先ごろの報道によればオバマ大統領も同じ轍(てつ)を踏んでいるらしい。「必死の努力を続けている」と去年言っていたが、まだ煙と縁が切れないようだ▼吸うことを喫煙と言い、好きな人を愛煙家と呼ぶ。たばこと煙は一心同体、切り離せないと思っていたら、火を使わず煙も出ないたばこが登場するという。日本たばこ産業(JT)が5月に、まずは東京で売り出すそうだ▼香りを楽しむ「嗅(か)ぎたばこ」の一種だという。紙巻きたばこに似た形で、ニコチンは軽いたばこの20分の1程度になる。吸う本人の健康リスクはあるそうだが、煙で他人に迷惑はかけない。それが売りである▼〈嫌煙の鬼にもなれずオフイスの窓少しあけ烟(けむり)逃がしむ〉中島央子。いまや立場は逆転し、職場禁煙は加速している。とはいえ飲食店は多くが例外だ。客はいやなら席を立てるが、従業員にはつらい人も多いのではないか▼仮に政府が薦めても防塵(ぼう・じん)マスクなど使えまい。窓を開けて煙を逃がすのは客の手前はばかられよう。「せめて無煙たばこを」が今後、嫌煙派の従業員や客の声になるやも知れない。無煙がひいては禁煙の成功を呼ぶなら、JTはいざ知らず、ご本人にも悪いことではない。

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