HTTP/1.0 200 OK Age: 236 Accept-Ranges: bytes Date: Sat, 20 Mar 2010 20:17:12 GMT Content-Length: 8353 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Last-Modified: Fri, 19 Mar 2010 14:20:48 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

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社説2 マグロ輸入継続で責任増す(3/20)

 絶滅が心配な生物種の国際取引を規制するワシントン条約会議の委員会は18日、大西洋・地中海産クロマグロの禁輸案を否決した。しかし乱獲によってマグロの資源量は減少しており、輸入継続で日本が負う管理責任は一段と重くなる。

 大西洋・地中海産クロマグロの禁輸案を提出したモナコや欧州連合(EU)は、来週の全体会合で再投票を求めない意向を示し、日本は同地域のマグロ輸入を当面続けられる可能性が強まった。

 国内へのクロマグロ供給の4割近くを占める大西洋・地中海産の輸入が続く見通しで、政府や水産関係者には安堵(あんど)の声もあがる。だが禁輸案の否決は、資源管理の重要性が増すことを意味する。

 採択の公算が大きいとみられていた禁輸案が否決された背景には、欧州主導の強力な保護規制に、新興国や漁業国が反発したことがある。反対票を投じたのは、天然資源の消費が増えるアジアやアフリカ諸国が多い。

 絶滅の危機にあるかどうかは議論が分かれる。しかし大西洋・地中海域のクロマグロに限らず、多くの水産資源が世界的な需要拡大と乱獲で減少しているのは事実だ。

 日本の反省材料は、同海域の資源を管理する大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)が有効に機能しなかったことだ。

 その結果、漁業規制から動物保護へと話し合いの場は移った。

 中国などの新興国でも消費が増えているとはいえ、世界でとれるマグロ類の4分の1、クロマグロは8割が日本に集まる。最大消費国の日本が資源管理を先導し、漁獲規制に反してとった魚を輸入しなければ、乱獲は収まる。そのためには漁獲証明書などの徹底が欠かせない。

 天然資源の保護には、マグロの卵を人工ふ化して育てる完全養殖の商業化も急務だ。

 ICCATは今年、大西洋・地中海域でのクロマグロ漁獲量を昨年より4割減らす。太平洋のクロマグロを管理する委員会も漁獲を現状より増やさない規制で合意した。

 輸入継続が問うのは、資源と規制を守る責任であり、日本がその先頭に立たなければならない。

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