HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 19 Mar 2010 22:14:39 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:公示地価続落 メリットを生かすには:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

公示地価続落 メリットを生かすには

2010年3月19日

 今年一月一日時点の地価公示によると全国約二万七千地点の地価は前年比4・6%減と、二年連続で下落した。不況による需要急減が主因だが、住宅や公共事業用地などを取得する好機でもある。

 土地の価格は場所、用途、形態などで大きく変わる。基本は需要と供給の関係によるが、特定の場所は代替地がないから価格はうなぎ上り。たとえば東京・銀座の一等地は一平方メートルあたり三千万円程度にもなる。

 「土地は公共財」と分かっていても所有者にとっては現在の地価がいくらになるのかが関心事だ。二人以上の不動産鑑定士の評価を基に判定した「正常な価格」が国土交通省の公示地価である。

 今年の地価を見ると住宅地と商業地を合わせた全用途平均では、下落率は三大都市圏の方が地方圏よりも大きかった。また住宅地と商業地との比較では、商業地の下落幅の方が大きかった。

 一方、地価が上昇したのはわずか七地点で、これは調査開始以来最少だった。特徴的なのは名古屋市が五、静岡県長泉町が二と場所が限定されていることだ。地下鉄路線の延長と医療施設や企業誘致の効果−と分析されている。

 地価下落は、一般的には景気にマイナスだ。担保価値が減ることで金融機関からの借り入れが抑制され、個人の住宅建設や企業の設備投資が抑制される。今回の下落は世界不況の影響と不動産投資での収益力低下などが理由だ。

 地価下落のメリットを生かすことが重要だ。土地を積極的に利用する。個人なら住宅、企業は新規事業のほかオフィスや工場、国・地方自治体は公園とか市街地整備など用地の先行取得を行う。

 とくに個人の住宅取得に結び付けたい。政府は現在さまざまな住宅対策を打ちだしている。住宅エコポイント制度や住宅取得資金での贈与税の非課税枠拡大、住宅金融の拡充など手厚い内容だ。

 だが、こうした施策だけで住宅不況の克服は難しい。

 昨年の新設住宅着工戸数は前年比三十万戸以上減の七十八万八千戸と、四十五年前の水準となった。不況による一過性の現象ではなく人口減少や賃金低下、低所得者層の拡大など構造的要因があるのではないか。一番大切なのは不安定雇用の解消だ。

 平均的な勤労者にとって現在の住宅価格は高すぎる。不動産業界は地価下落を生かし、マンションや一戸建て住宅の価格引き下げに全力を挙げてもらいたい。

 

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