HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 60519 Content-Type: text/html ETag: "fd17f-11d8-8263cf40" Expires: Thu, 18 Mar 2010 00:21:15 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 18 Mar 2010 00:21:15 GMT Connection: close 3月18日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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3月18日付 編集手帳

 かつて数々の名作ドラマがそこから生まれた『東芝日曜劇場』(TBS)を、ご記憶の方は多かろう。番組の冒頭で流れていたCMソングの歌い出しは〈光る 光る 東芝…〉である◆弓狩匡純(ゆがりまさずみ)さんの『社歌』(文芸春秋)によれば、東芝の社歌も〈光満ちわたれ はてなくとどけ わが生む光…〉と始まる。「光」に重きが置かれているのは、東芝の前身が白熱電球の国産化を成し遂げ、それが創業事業の一つであったからという◆東芝が電機業界の大手では初めて、白熱電球の製造をきのうで中止し、120年の歴史に終止符を打った◆政府は温室効果ガス削減のため、消費電力の大きい白熱電球の生産を2012年までにやめるよう各メーカーに要請しており、それに応えての中止である◆かぐや姫は『赤ちょうちん』(詞・喜多條忠、曲・南こうせつ)で〈あのころふたりのアパートは/裸電球まぶしくて…〉と歌った。向田邦子さんは随筆やドラマで、切れた電球に靴下をかぶせてほころびを繕う母を描いた。夕日のような淡いオレンジ色を帯びた白熱電球はやがて、人々の記憶のなかに(とも)ることになる。

2010年3月18日01時21分  読売新聞)
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