HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 18 Mar 2010 01:16:02 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:浜離宮に近い東京・銀座八丁目の歩道脇に踏切の信号機が残って…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年3月18日

 浜離宮に近い東京・銀座八丁目の歩道脇に踏切の信号機が残っている。貨物の汐留駅から、築地市場内の東京市場駅を結ぶ約一キロの貨物支線の途中にあった「浜離宮前踏切」だ▼市場が開設された一九三五年以降、全国の水産物を積んだ冷蔵貨車などが、最盛期には一日百五十両も行き交った。役割を終えたのは、トラック輸送の時代を迎えた二十数年前だ▼貴重な「産業遺産」は、築地市場がなぜ円弧を描いた形になっているのかを教えてくれる。外周にプラットホームをつくり、貨車から直接、荷降ろしできるように設計されていた▼市場の移転が計画されたのも、実は貨物列車による輸送しか想定していなかったことと関係がある。場内や周辺道路が激しく混雑しているのは、もともとトラックの駐車スペースが少なかったためだ▼移転計画は、予定地である工場跡地の土壌汚染が明らかになり、暗礁に乗り上げたままだ。都議会の民主、共産両党は、都の予算案から、移転関連経費を削った修正案を提出する構えだ▼歴史を振り返ってみると、日本橋から築地への移転も補償問題などで相当難航したらしい。移転期限は何度も延長され、関東大震災による焼失で、なしくずし的に築地に移ったという(生田與克、冨岡一成著『築地魚河岸ことばの話』)。消費者としては、安心を託せる市場ができることを願うだけだ。

 

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