HTTP/1.0 200 OK Age: 148 Accept-Ranges: bytes Date: Thu, 18 Mar 2010 02:18:38 GMT Content-Length: 8391 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Last-Modified: Wed, 17 Mar 2010 14:50:16 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

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社説2 労使は賃金改革の議論を(3/18)

 春の賃金交渉は17日、自動車、電機など大手製造業の主要労働組合に経営側から一斉に回答があった。毎年賃金が上がる定期昇給(定昇)は大半の企業で維持されることになり、実質的な賃金カットである定昇の凍結や減額にはならなかった。

 一方で定昇制度そのものについての議論は素通りになった。企業の労使は今後、定昇のように長く勤めるほど収入が増える年功型制度の是非について議論を始めるべきだ。賃金制度改革につなげてほしい。

 今年の交渉で労働組合側は雇用の確保を最優先にし、一部の組合を除き、賃金水準を底上げする「ベースアップ」などの賃上げを断念。定昇を守ることを第一に掲げた。

 経営側は投資資金の確保など将来に備えるため、定昇の凍結も必要との考えを示し、労組が防戦を強いられる形になった。

 電機大手では経営側から、どんな経済情勢でも毎年昇給する制度は企業の競争力をそぐ、との問題提起があった。だが人件費抑制が前面に出ては、労組と議論を深められない。

 年功型の賃金制度は時代に合わなくなっている。中途入社者が不利になり、労働力不足になる将来、外国人や高齢者を活用するときに企業自身が困ることになる。

 年功型の制度は、社員をひとつの企業に囲い込む仕組みともなり、医療、環境関連など成長分野へ人材を移していく際に障害になる。職種や役割などに応じて賃金を決める制度が望ましい。日本経済の活力を高めるためにも、労使は賃金制度改革の議論を尽くしてほしい。

 連合が春季交渉で初めて掲げたパートなど非正規社員の処遇改善も、成果はあまりみえない。

 自動車産業の労組が集まる自動車総連は要求に、非正規社員の賃上げを盛り込まなかった。労組の組合員でない非正規社員の処遇を春季交渉で話し合うことには限界がある。

 非正規社員の労働条件を改善するには、組合員である正社員の賃金を抑えるなど、人事制度全体の改革も迫られる。非正規社員を工場などの繁閑に合わせて活用してきた経営側も、新たな対応を求められる。労使は非正規社員の処遇向上にも正面から取り組んでもらいたい。

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