HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 63521 Content-Type: text/html ETag: "a795e-1d73-92903840" Expires: Tue, 16 Mar 2010 22:21:06 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 16 Mar 2010 22:21:06 GMT Connection: close 鳩山内閣半年 政権交代の成果が見えない : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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鳩山内閣半年 政権交代の成果が見えない(3月17日付・読売社説)

 政権交代をしたにもかかわらず、日本の政治は一向に変わらない。期待が高かった分だけ、有権者の失望は深いと言わなければならない。

 鳩山内閣が昨年9月に発足してから半年が過ぎた。その失望ぶりは、読売新聞の世論調査で、内閣支持率の下落が止まらないことからも明らかだ。

 発足当初は75%と高かった内閣支持率は、今月、41%へと低下した。民主党支持率も、51%から31%と20ポイントも落ちた。

 支持率ダウンの最大の理由は、自民党政権時代を彷彿(ほうふつ)させる「政治とカネ」の問題である。

 何しろ政権党の2トップにかかわる疑惑だ。鳩山首相は、元公設秘書による偽装献金事件だ。小沢民主党幹事長は、自らの資金管理団体の土地取引に絡む事件で、元私設秘書の石川知裕衆院議員らが逮捕・起訴された。

 ◆「しない」尽くしの異様◆

 最近、北海道教職員組合側から民主党衆院議員の陣営に、違法な選挙資金が流れたとされる事件も発覚した。

 これらに共通するのは、疑惑をもたれた政治家が、いずれも「説明を尽くそうとしない」「責任をとろうとしない」ことだ。民主党の議員らが、「責任を問おうとしない」というのも異様である。

 首相は、母親からの巨額の資金提供に絡んで「平成の脱税王」と糾弾されながら、資金の使途など詳細を語っていない。

 小沢氏は、自らの「嫌疑」が晴れたわけではないのに、国会で説明しようとしない。

 野党は、小沢氏の証人喚問など関係者の国会招致を求めている。だが、民主党はすべて門前払いである。衆院民主党の「数の力」で要求をはねつけている。

 かつての自民党では、こうした野党要求に対しては、党内派閥の駆け引きもあり、一定の自浄作用が働いたものだ。だが、「小沢独裁」とも称される今の民主党は、「物言えば唇寒し」で、多くの議員は沈黙を守っている。

 真相究明を放棄し、政治資金制度改革の論議でお茶を濁そうとするなら、本末転倒も甚だしい。

 民主、社民、国民新の3党連立の下で「閣内不一致」が常態化しているのも看過できない。

 ◆閣内不一致の常態化◆

 社民党が「連立離脱」をほのめかしただけで決着を先送りした米軍普天間飛行場の移設問題は、その最たる例といえる。

 首相は、国外移設という非現実的な社民党の主張にいつまで振り回されているのか。

 消費税を含む税制の抜本改正議論の開始を前倒ししても、消費税率は据え置くと明記した連立政権の合意書を前にしては、建設的な議論には限界があろう。

 国の基本政策で隔たりの大きい政党間の連立は、政策遂行を遅らせるだけでなく、国益や国民生活の安定を損ねてしまう。

 「政策決定の内閣一元化」の行方も、怪しくなっている。

 小沢幹事長は、業界などからの陳情を党幹事長室に一元化し、予算編成にも深く関与した。幹事長室を通じた公共事業予算の「個所付け」情報の漏洩(ろうえい)は、古い利益誘導政治そのもので、「変わらぬ政治」の典型だろう。

 政治家と官僚との関係も、ギクシャクしたままだ。事務次官から局長への格下げなどを容易にする制度改革や、天下り問題への対応は、あまりに場当たり的だ。

 この半年、米軍の核持ち込みなどをめぐる日米の密約問題を検証し、けじめをつけたのは、政権交代が生んだ効果といえよう。

 だが、それ以外にめぼしい成果もなく、政権が失速しつつある大きな要因は、首相自身にある。

 軽い発言の連発と発言のぶれを見てきた国民は、最高指導者の言葉に信をおけなくなっている。

 ◆普天間は5月決着を◆

 日米関係を修復するためにも、普天間問題は5月末までに決着させなければならない。

 所得制限なしの「子ども手当」に象徴されるバラマキ的施策を、恒久財源なしにこれからも継続すれば、国家財政はもたない。

 各閣僚には、財政赤字など前政権の「負の遺産」を口実に、自らの責任を回避するような言動は、慎んでもらいたい。首相は、これ以上、危機感に欠ける政治を続けていくなら、早晩、政権が行き詰まることを覚悟すべきである。

2010年3月17日01時33分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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