HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 16 Mar 2010 22:14:42 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:空自の官製談合 『悪意ない』では済まぬ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

空自の官製談合 『悪意ない』では済まぬ

2010年3月17日

 航空自衛隊の事務用品調達をめぐる疑惑は、事実とすれば典型的な官製談合である。さらに空自トップが「悪意はなかった」と表明したのは、談合排除を求める国民の神経を逆なでするものだ。

 公正取引委員会は官製談合防止法(入札談合等関与行為の排除及び防止法)に基づき、防衛省に改善措置を求める方針だ。二〇〇五年十一月以降、航空自衛隊発注の机など事務用品の一般競争入札で空自職員が受注企業を選び、その企業が落札できるよう、入札参加企業の応札価格を調整していた疑いがもたれている。

 事実なら北沢俊美防衛相ならずとも、「絵に描いたような官製談合」と言わざるを得ない。

 それだけではない。空自トップの航空幕僚長が、「随意契約から一般競争入札に変わったことが原因」とか「関与が疑われる隊員に悪意はない」と表明した。

 国、自治体とも公共工事・調達から談合を排除、入札・契約の公正な競争や透明性を強める方式を目指す改革はすでに十五年以上続く。空幕長発言は身内をかばい、長年の改革努力と国民の願いを無視するものではないか。

 会計法により国の公共工事・調達の受注企業は、何社でも参加できる一般競争入札で選ぶのが原則である。受注企業を発注機関が決める随意契約や参加企業を限る指名競争入札では、不正の余地を排除しきれない。談合などで公正な競争を妨げると、高い落札率で税金の無駄遣いとなるからだ。

 空自の調達でも〇五年度以降、随意契約から一般競争入札に移行した。だが現状は一般競争入札を装って随意契約を続け、官が受注先を決めていたことになる。

 今回の談合関与を疑われる企業には自衛隊OB十人(うち空自八人)が天下っている。旧防衛施設庁など過去に発覚した官製談合と同じ仕組みの、発注官庁と企業の癒着である。

 省内に実態調査と再発防止策検討の委員会が発足した。調達部門の自衛隊職員にまず求めるべきは平凡だが、発注者としての厳正な綱紀を保持させることだ。談合関与などは論外だが、適正な入札・契約に関する法令の周知、企業との慎重な接触方法を身につける−などである。

 内部監察のほか、他省庁の発注機関が設けている外部委員の第三者機関の常設も考えたい。入札・契約の手続きが公正か、発注の問題点を身びいきでなく検討する態勢づくりを急ぐべきである。

 

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